猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

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  • ARGYLLE/アーガイル
    いつも以上にかっ飛んでいる。深く考えず楽しむべき
    ★★★★

    マシュー・ヴォーンらしいスタイルとユーモアあふれる映画ながら、これまでとは違っていて新鮮。ひとつ前の「キングスマン:ファースト・エージェント」に比べてずっと明るいのも良い。いつものことながら、あまり深く考えずに良い意味でのばからしさを堪能すべき。主演にブライス・ダラス・ハワードを据えたのは大正解。彼女が主演であることで、ひねりたっぷりの話がより効果的に展開するのだ。さらに、猫好きにとってはスコティッシュホールド、アルフィーのかわいさがたまらない(実生活で、監督の娘さんの猫)!窮屈かもなとの不安もありつつ、あのおしゃれな猫ちゃん専用バックパックが気になる人も多いのでは。

  • ミアの事件簿:疑惑のアーティスト
    セクシーなスリラーを目指したのはわかるが
    ★★★★★

    主人公は、恋人を殺した容疑をかけられた男性を弁護する女性弁護士。彼女は私生活で無職のマザコン夫と意地悪な姑に悩まされている。そういった設定に、チープな昼メロみたいに楽しめるかもと思っていると、途中から話の現実味は大きく損なわれ、その後にはあまりに都合の良いことが起きて、最後は破茶滅茶。作り手にしたら「誰も予測しなかったに違いない大きな種明かし」のつもりなのだろうが、いくら映画とはいえありえなすぎ。容疑者の職業はアーティストで、ファッション、音楽のセンスなど表面的な部分はおしゃれ。セックスもあり、80年代のエロチックスリラーのような感じを目指したのはわかるが、スリルはゼロ。

  • 落下の解剖学
    カップルというものについての深い考察
    ★★★★

    彼女は犯人なのか、違うのか。多くの事実が出てくる中で、きっとそうだとも、いやそうではないとも思わせて、最後まで緊張感を保つ。だが、今作が秀でているのは、ただの犯罪映画、裁判ものではないところ。これは何より、カップルを考察するもの。愛し合って結婚し、いろいろ話し合って納得した生活を送っていたふたりでも、長い時間が経つうちに何かが起きたり、どちらかが変わったりして、関係が崩れていったりする。このような事件がなかったにしても、それはあること。それは普段、表からは必ずしも見えないのだ。世間に攻撃される要素を持つ(女性は攻撃されがち)主人公の女性像も、あえて曖昧さを残したラストもリアル。

  • キル・ミー・ダーリン
    この夫婦の関係は共感できる
    ★★★★★

    元ネタはトルコ映画。ロマンチックにプロポーズされて結婚したのに、お互いとの金銭的価値観の違いが十分わかってきた5年後には関係が揺らいできて、という状況は万国共通で共感できるもの。宝くじで大金が当たっても、その使い方でまた意見が合わないというのも納得。そこで相手を殺そうとなるという筋書きなのだが、コメディとはいえ多少の説得力を持たせるために出してくる脇のキャラクターたちが、話をどんどん非現実的にしていく。おかげで、宝くじに当たったあたりまでは笑えるのに、はちゃめちゃの本番が始まるとそうでもなくなるという皮肉なことに。ただし問題は脚本で、キャストはみんな良い。

  • コヴェナント/約束の救出
    スリル満点、感動もさせて問題提起もする傑作
    ★★★★★

    どんな映画でも言えることではあるが、今作はとりわけ、何の予備知識もなしに見ることをおすすめ。予想がつかない展開にはらはらドキドキさせられ、半分まできたところでストーリーはさらに思いもかけないほうに向かうのだ。戦争映画は数あれど、アフガニスタンで米軍の通訳を務める現地の人という、これまで見過ごされていた部分に焦点を当てるのも興味深く、意義深い。そこには問題提起もあるし、何よりも人間ドラマとして大きく感動させる。いつもとまるで違った直球のアプローチながら、戦闘シーンがスリルと迫力満点なのは、さすがにガイ・リッチー。「良い映画を見た」という満足を与えてくれる傑作。

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