少年と犬 (2025):映画短評
少年と犬 (2025)
ライター2人の平均評価: 2.5
シェパードという犬種が効果的。1匹で演じ切ったとは!
犬映画は数多く作られ、基本「かわいい」と心ときめくパターンが目立つが、本作はジャーマンシェパードのため凛々しく知的。いい意味で感情が表に出ない、人間に変に媚びないところが、この物語を甘く、湿っぽくしない。原作どおりとはいえ映画的に好印象。
犬と親しい関係を築いたことのある人にとって、この手の犬映画はあちこちに過剰に反応してしまうはずだが、本作はそこも控えめ。これを一匹のみで演じ切ったところに惜しみない賛辞を贈りたい。
特に前半の重要なシーンで、カットの切り替えなど見せ方がうまく機能していないのが気になるところ。また、ファンタジックな要素と現実の噛み合いをどう受け止めるかは、観る人それぞれかと。
犬と幸せと不幸せと
一匹の犬とそれにかかわる人々を二つの災害を絡めつつ描くドラマ作品。『ラーゲリより愛をこめて』のチームの作品なので立て付けはしっかりしています。”犬映画のロードムービーもの”ということで、若干既視感のある作品でしたが、関わった人たちに起きる事柄がビターなことも多いのは新しいところ、変に良い出来事だけを並べないのは、ある意味リアルですね。語り部役の西野七瀬はすっかり安定感を感じさせる俳優となり頼もしい限りです。ファンタジックな展開を担当することになる高橋文哉も目下好調ですね。SEKAI NO OWARIによるメインテーマ曲が思いのほか沁みました。