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ウェルカム トゥ ダリ (2022):映画短評

ウェルカム トゥ ダリ (2022)

2023年9月1日公開 97分

ウェルカム トゥ ダリ
(C) 2022 SIR REEL LIMITED

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3

猿渡 由紀

晩年のダリを囲んだ光と、内に抱えた闇

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

ダリの新しい助手となる若者は、架空の人物。彼の視点で、観客は晩年のダリの世界に入っていくことができる。ここで描かれるのは純粋なアーティストとしてのダリではなく、ブランドとなり、ニューヨーク社交界の一部となったダリ(映画には出てこないが、彼は当時ハリウッドで大ブレイクしたミア・ファローとも非常に親しかった)。ブランドを維持するためには制作しなければいけない。金への執着が導く暗い部分も、この映画は見せていく。最も興味深いのは、ダリと妻ガラの関係。ダリの古い友人ルイス・ブリュネルはガラを毛嫌いし、そのせいで友情にヒビができたという。キングスレーとスコヴァが、その奇妙なエネルギーを見事に表現。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

享楽的で刺激的で如何わしいダリの世界へようこそ!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ポップカルチャー華やかなりし’70年代中盤。ニューヨークの画廊に勤める若者が、ひょんなことから20世紀最大の芸術家サルヴァドール・ダリの助手となり、「ダリランド」と呼ばれる享楽的で刺激的な世界へと足を踏み入れる。鬼才ダリを取り巻くスキャンダラスな話題にフォーカスした三面記事的な内容で、正直なところ伝記映画としては食い足りないものの、それでも’70年代アート界の狂騒を再現した如何わしさは魅力的だし、ダリを演じるベン・キングズレーのなりきりぶりも見ものだ。ただ、現在に至るまでトランスジェンダー説を本人が否定しているにも関わらず、アマンダ・リア役にトランス女優を起用したことには疑問が残る。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

ダリが創ったダリの王国を訪れる

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 シュールレアリスムのアーティスト、サルバトール・ダリの伝記映画だが、原題はDaliland、ダリの国。映画はこのタイトル通り、現実世界のダリを描くのではなく、晩年のダリが住んでいた国、ダリランドがどんな場所だったのかを描く。彼以外の人々は、少しの間、そこを訪れることはできるが、住むことはできない。この映画を見ている間、その国にいるかのような体験ができる。

 それと並行して描かれる、若い頃のダリの熱に浮かされたようなアーティストぶりを、エズラ・ミラーが好演。そんな彼を、晩年のダリが遠くから眺めるという演出により、若き日の逸話の数々も、ダリが創り出したダリランドの一部のようにも見えてくる。

この短評にはネタバレを含んでいます
大山くまお

稀代の芸術家ダリと妻ガラの深すぎる愛憎

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

稀代の芸術家であり、奇抜なスタイルと言動で知られたサルバドール・ダリの晩年を、助手の若者の視点で描く。ダリが暮らした70年代のニューヨークのポップカルチャーが登場するが、主題は10歳年上の妻であり、彼のミューズでもあったガラとの深すぎる愛憎だ。特殊な才能を持ち、ナイーブで、不能だったダリを包み込むように深く愛しながら、金に汚く、エキセントリックで、若い男に夢中だったガラ。とにかく二人のパワーがすさまじい。監督のメアリー・ハロンはあくまで上品に二人のおかしな夫婦ぶりを映し出す。これがデビュー作となる助手のジェームス役、クリストファー・ブライニーの美青年ぶりにも注目。

この短評にはネタバレを含んでいます
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