『世界の中心で、愛をさけぶ』『いま、会いにゆきます』に続く“号泣必至の純愛映画”と期待されている『タイヨウのうた』。なんと監督を務めた小泉徳宏は、本作が長編デビュー作の新人監督なのです! 新人にも関わらず、こんなにも大物の俳優陣を使い、こんなにも質の高い作品を仕上げるとは……。名作を作り上げた監督とは一体どんな人なのでしょうか? その知られざる経歴と映画にかける情熱を紹介します。
「こんな感じでいこう!」とばかりに熱く語る小泉監督。
(C) 2006「タイヨウのうた」フィルムパートナーズ |
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小泉監督は1980年生まれ、25歳の新人監督です。小泉監督は学生のころから映画が好きで、好きで、大好きで、ひたすら映画監督になることを切望していました。しかし、コネもお金もない一般学生が映画を撮影するなんて簡単にできることではありません。そこでその状況を打破すべく、小泉は2000年に自ら“I's film(アイズ・フィルム)”という組織を作り、映画を自主制作したい人たちが互いに協力できるように活動を始めました。「映画を作りたい人集まれ!」と呼びかける小泉監督の姿は、まさに熱き「映画魂」!
学生時代の「映画魂」はそのままに、卒業後は『踊る大捜査線』シリーズや『ALWAYS 三丁目の夕日』などヒット作を生み続ける制作会社ROBOT映画部に入社。以前は岩井俊二監督も所属していた由緒正しき会社です。『踊る大捜査線』シリーズの本広克行監督、『海猿 ウミザル』シリーズの羽住英一郎監督などに囲まれ、いつかはおれも! とチャンスをうかがっていましたが、突然降ってわいた『タイヨウのうた』企画。しかも、いきなり全国公開のメジャー作品ということで、監督自身も最初はびびったそうです。長編初監督ながらも、細かい心情を描き出すテクニックは、数々の短編作品で養ってきた技術と経験のたまものです。 |
中央にいるキャップをかぶっているのが監督です。 (C) 2006「タイヨウのうた」フィルムパートナーズ |
学生時代から精力的に映画を作ってきた小泉監督は、すでに『行列のできる刑事』『Mother』『悲劇』などといった短編作品を何本も監督した実績があります。しかも出来上がった作品は学生監督が撮ったとは思えないほど質が高く、多くの観客が褒めそやしています。中でも最も評価の高い作品が『文金高島田二丁目』です。監督自身が“失笑ドラマ”と評する本作は、第14回東京学生映画祭でグランプリをとったほか、水戸短編映像祭で審査員奨励賞を受賞するなど、知る人ぞ知る名作なのです。
物語の内容は、売れないお笑い芸人と、その芸人を誘拐した誘拐犯、さらに誘拐された芸人の相方が織りなすコメディタッチのサスペンスドラマ。撮影だけでなく編集作業にもこだわる小泉監督は、音と映像の融合を目指して2か月間試行錯誤を繰り返したそうです。そのこだわりの姿勢こそ、すでに新人の域を越えている小泉監督のすごいところなのです。 |