ザ・ミッション 非情の掟 (2000):映画短評
ザ・ミッション 非情の掟 (2000)香港映画史も変えた、恐ろしくムダのない81分
90年代後半、勢いを失いつつあった香港映画界に、気付けば口ずさむテーマ曲とともに現れた奇跡の一本。ボスの護衛という既視感ありすぎな設定のなか、低予算を逆手に取って展開されるスタイリッシュな“銃撃”(原題「鎗火」は同様の意味)。脚本が存在しないキャストの緊迫感が伝わってくるなか、合間に織り込まれる紙屑サッカーや仕掛けタバコなど、招集された5人の距離感を表現した描写や、見事な構図の連続に息を呑む。説明セリフやモノローグなど、余計なものを削ぎ落した恐ろしくムダのない81分。本作を機に、ジョニー・トー監督率いる制作会社・銀河映像(ミルキーウェイ)が大躍進を遂げたのはいうまでもない。
この短評にはネタバレを含んでいます