ほえる犬は噛まない (2000):映画短評
ほえる犬は噛まない (2000)ジェットコースター的「パラサイト」の勢いの原初的テスト
些細な事件に始まり、とんでもない何かが被さり、さらに事態が急変するという、ジェットコースーター的加速度と、何気なくバラまかれる伏線は、途中の作品を一気にとばして『パラサイト』に通じる勢い(監督本人も認めた)。集合住宅での大胆なチェイスや群衆出現シーンなども、長編デビュー作らしい怖いもの知らずな演出として、いま観ても新鮮な効果が発露。犬の悲劇という深刻な側面を、とぼけた軽やかさで引き戻すメリハリ感も巧妙だ。
思い込みが激しいヒロインで、ペ・ドゥナの根源的魅力を開発したのも今作の大きな功績。原題は「フランダースの犬」。日本のアニメ主題歌が2回流れる意味は単なる監督の遊び心か? 妄想もふくらむ。
この短評にはネタバレを含んでいます