誰も知らない (2004):映画短評
誰も知らない (2004)STAY HOME、天才子役のその後。時を超えて訴えるもの
各作品が独立しているようで、微妙にリンクするのが是枝監督作品の魅力だが、最初の頂点となる今作は、独自の家族関係、格差社会、子役を無意識に自由にさせる演出という、作家の「志向」が最大限に発揮され、後の傑作とのシンクロを多数発見することが可能。STAY HOMEさせられる子供たちの日常が、時を超えて現実と重なるのも傑作としての証か。
YOUが演じる育児放棄の母親に微妙に共感させるなど心ざわめく効果が多いなか、何より感動するのは、天才子役として賞賛された柳楽優弥の、現在の新たな個性での活躍。当時のことをあまり語りたがらない柳楽だが、大人の役者として「生まれ変わった」決意を、今作に重ねると感慨深い。
この短評にはネタバレを含んでいます