ニュー・シネマ・パラダイス (1989):映画短評
ニュー・シネマ・パラダイス (1989)二度と戻らないかもしれない光景に、映画ファンは落涙する
溢れるばかりの映画愛と少年トトの無邪気すぎる表情によって、物理的に不可能な状況や、ありえない転換など、すべてが奇跡の感動にねじ伏せられる荒技。E・モリコーネの音楽のタイミング、ドラマとの相関も完璧で、化学反応のように本能を震わせる作用がある名作。人生の節目の出会いと別れ、好きなことを仕事にするなど観る人が自分と重ねる瞬間も異様なほど多発する。
今はほとんど使われなくなった「フィルム」への回顧はもちろん、満席で立ち見もギッシリ、みんなが大声で笑う映画館内の風景は、公開の1989年にすでにノスタルジーだったが、コロナ禍の世界から観たら、絶対に味わえない映画館の至福の時間であり、たまらなく切ない。
この短評にはネタバレを含んでいます