ダークナイト (2008):映画短評
ダークナイト (2008)ホアキンのジョーカーと重ねる「後付け」の歓びも大傑作の証明
観終わった瞬間、あれほど胸をかき乱されたのに、このまま映画の快楽に溺れたままでいたい…。そう感じさせる作品は珍しい。闇の騎士というタイトルが示すとおり、描写もキャラクターも徹底してハードでダーク。前作『ビギンズ』に多少残っていたアメコミ映画らしい荒唐無稽さは一気に影を潜め、ゴッサムシティでの犯罪と人間模様が、われわれが生きる日常と地続きで伝わる。ゆえにヒースのジョーカーも狂気と冷静のバランスがリアルな恐怖だけでなく、刹那的な哀しみを伴い、後の『ジョーカー』と重ね、その心情を検証したくなる。これが映画の歓びか。IMAX70mmカメラ撮影の部分が、重厚でクラシカルな味わいなのも、これまた極上体験。
この短評にはネタバレを含んでいます