30デイズ・ナイト (2007):映画短評
30デイズ・ナイト (2007)深緑色の夜、暗く赤い血が飛び散る
後にTV「ハンニバル」「アメリカン・ゴッズ」の製作総指揮&監督で暗く端正な映像美を極めていくデヴィッド・スレイド監督の07年作。これから夜だけが30日間続いていく北の果ての小さな町に、得体の知れないものたちが静かに侵入してくる。積もる雪は夜でもほの白く、夜が純粋な黒色ではなく深緑色を帯びているのは、雪の上に飛び散る粘度の高い血液の深い紅色を際立たせるため。少しずつ姿を現していく異形の者たちの、人間とはごくわずかだけ異なる造形が、夜明けの訪れない極寒の世界によく似合う。エンドクレジットの背景も美しい。この監督がノーマン・パートリッジの小説を映画化する新作映画「ダーク・ハーヴェスト」も楽しみ。
この短評にはネタバレを含んでいます