隣の家の少女 (2007):映画短評
隣の家の少女 (2007)美しく平和な住宅街で見過ごされた児童虐待の地獄
アメリカが最も豊かで美しかった’50年代末、絵に描いたように長閑で平和な住宅街。その一角にある平凡な家庭の地下室で繰り広げられた凄惨な児童虐待と、その異変に気付きながらも救いの手を差し伸べられなかった無力な少年の絶望を描く。原作はベストセラー作家ジャック・ケッチャムの小説だが、元ネタはアメリカで実際に起きた事件。臭いものに蓋をする社会では弱者の口もまた塞がれ、綺麗な表層の裏に隠れた腐敗は見過ごされる。大人になった主人公の回想形式はスティーブン・キングっぽい雰囲気だが、しかしその語り口は遥かに痛ましく容赦がない。(DVDレンタルあり)
この短評にはネタバレを含んでいます