なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴: 日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとしてキャリア30年。TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。海外取材経験も多数。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況: 目下のところBabyMonsterとTXTにドハマリ中。まさか高校生の姪っ子と推しが被ることになるとは…(^^;

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

なかざわひでゆき さんの映画短評

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  • Flow
    徹底して写実的なビジュアルが寓話的な物語に説得力を与える
    ★★★★★

     既に文明が崩壊してしまったと思しきディストピアな世界。大規模な洪水が押し寄せる中、流れてきたボートに飛び乗って命拾いした一匹の猫が、カピバラや犬、キツネザルなど様々な動物たちと助け合いながら困難に立ち向かう。分断と対立の時代だからこそ胸に迫る、動物同士の種族を超えた友情と団結の物語。オープンソースソフトウェアで作られたCGアニメだが、ビジュアルは細部まで徹底して写実的だ。そのスケール感と没入感は圧倒的。さらに、あえて動物たちを擬人化したりなどせず、どこまでも猫は猫らしく、犬は犬らしく、カピバラはカピバラらしく振る舞い思考する。おかげで寓話的な物語にリアルな説得力と深い感動が与えられた。

  • プレゼンス 存在
    怖さよりも切なさや哀しみが際立つお化け屋敷もの
    ★★★★

     とある一軒家に引っ越してきた平凡な家族。だが、その家には見えない先住者(=地縛霊)が存在した…!というお話。で、その幽霊は一見したところ幸せそうな一家の壊れかけた日常を目撃し、やがて彼らの身に迫る危険を警告しようとするわけだが、面白いのは全編を「幽霊目線」の一人称カメラで描いていること。よその家族の赤裸々な素顔を垣間見てしまうことへの戸惑い、疎外感を抱えた一家の長女に寄せる共感など、言葉を発することのできない幽霊の揺れ動く感情までもが丹念に描写される。怖さよりも切なさや哀しみが際立つという点で、どことなく『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』を彷彿とさせるお化け屋敷もの。

  • マッド・マウス ~ミッキーとミニー~
    あのミッキーがこんな酷いことを!という悪乗りネタが全て
    ★★★★★

     あのミッキー・マウスが殺人鬼となって現実世界に出現し、真夜中のゲームセンターや郊外の大豪邸に集まった若者たちを手当たり次第に惨殺していく。ミッキー・マウス映画第1弾『蒸気船ウィリー』の著作権保護期間が切れたため、これまで不可能だった罰当たりなことをミッキーに思いっきりさせちまおう!という中学生的な悪乗りが全ての、極めて志の低いC級スラッシャー映画。脚本も演出も芝居も素人に毛が生えた程度のレベルだが、とりあえずそれを覚悟の上で、あくまでも話のネタとして楽しむべき作品であろう。まあ、待望(?)の続編映画も撮影に入っているらしいですしね!

  • TATAMI
    自由と尊厳を求めて権力へ立ち向かう女性柔道家に胸アツ!
    ★★★★★

     柔道国際大会に挑むイラン代表女子選手レイラ。金メダルを狙って順調に勝ち進むものの、しかしイスラエル選手と対戦する可能性が出てきたことから、本国の政府によって棄権を命じられてしまう。断れば自分ばかりか家族の身にも危険が及ぶ。かつてのソ連や現在の北朝鮮と同じ。スポーツに政治の思惑が絡む。その理不尽さ。不安と恐怖に揺れながらも己の信念のままに行動するレイラ、そんな彼女に「何があっても君は俺のヒーローだ」と全面支援する旦那。緊迫した胸アツのドラマが圧倒的な吸引力で展開する。さらに、教え子に自分と同じ屈辱を味わせていいのか?と迷う女性コーチの葛藤に女同士の連帯が投影される。地味ながらも傑作。

  • 名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
    ディランが憑依したようなシャラメの芝居と歌声に酔う
    ★★★★

     尊敬するウディ・ガスリーに会うためニューヨークまでヒッチハイクしてきた名もなき若者が、紆余曲折と試行錯誤の末に唯一無二のシンガーソングライター、ボブ・ディランへと成長していく。あくまでもキャリア最初の5年間に的を絞ることで、ディランの芸術家としての本質に迫ろうとした作品。自身の音楽をカテゴライズすることもされることも拒み、既存のフォークという枠にとらわれず貪欲に吸収していくその姿勢に共感する人も多かろう。とはいえ、やはり最大の見どころは主演のティモシー・シャラメ。それこそディランが憑依したかのような芝居とパフォーマンスに思わず舌を巻く。

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