なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴: 日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとしてキャリア30年。TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。海外取材経験も多数。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況: 目下のところBabyMonsterとTXTにドハマリ中。まさか高校生の姪っ子と推しが被ることになるとは…(^^;

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

なかざわひでゆき さんの映画短評

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  • アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方
    トランプを生み出した米政財界の本音と正体を暴く
    ★★★★

     ウォーターゲート事件からレーガン政権へかけての時代を背景に、野心的だが初心で世間知らずな若者ドナルド・トランプが、アメリカの政財界を裏で操る黒幕ロイ・コーンの指南によって、現在の我々が良く知る怪物的な権力者へと変貌していく様子を描く。トランプ大統領についての映画というよりも、むしろトランプ的なものを生み出した米政財界の本音と正体を赤裸々に暴きだす映画と言えよう。愛国者を自称する彼らの守りたいアメリカというのが、自分たちの好き勝手に富を独占できる狩場でしかないこともよく分かる。これぞ資本主義の悪夢。トランプ役セバスチャン・スタンのなりきりぶり、時代を鮮やかに再現したアッバシ監督の演出も見事。

  • サンセット・サンライズ
    大らかな笑いと温かな眼差しで見つめる日本の田舎の現在と未来
    ★★★★

     コロナ禍の南三陸を舞台に、リモートワークを機に東京から憧れの田舎生活を夢見て移住してきた大手企業サラリーマンと、必ずしも手放しで迎え入れることのできない地元住民たちの悲喜交々な交流が描かれていく。パンデミックによる地域社会の分断や東日本大震災の残した深い傷跡などを通して、衰退していく日本の田舎が抱える様々な問題を浮き彫りにしつつ、これまでの慣習や常識に囚われない新たな地域社会の在り方を模索するストーリーは非常に前向きだ。なにより、田舎に勝手な幻想を抱く都会人、都会に対して卑屈になりがちな田舎人、双方を笑い飛ばしながら温かい目で見つめる宮藤官九郎の脚本はとても優しい。

  • トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
    往年の香港アクション映画への壮大なオマージュ
    ★★★★

     かつて香港名物でもあった悪名高きスラム街・九龍城砦。黒社会の根城として警察も立ち入れない無法地帯でありながら、その一方で大勢の貧しい人々がお互いに助け合いながら暮らし、どこの馬の骨とも知れぬワケアリな人間でも受け入れる懐の深さもある。そんな地域社会の温かな人情に救われた難民の青年が、九龍城砦の利権を巡る黒社会の血で血を洗う抗争に巻き込まれていく。舞台設定は’80年代。失われた時代への郷愁をたっぷりと盛り込みつつ、義理と人情と復讐の渦巻く濃厚なドラマが展開する。まさに香港ノワール×カンフー・アクション。若手たちの好演も然ることながら、ルイス・クーVSサモ・ハンのベテラン対決がまた圧巻!

  • ストップモーション
    さながらデヴィッド・リンチ×ブラザーズ・クエイ的な悪夢の世界
    ★★★★

     偉大なストップモーション・アニメ作家を母親に持ち、その助手として同じ道を目指すも才能を認めてもらえない女性が、製作途中で倒れた母の代わりに作品を完成させようと奮闘するも、やがて現実と空想と妄想の境界線が曖昧となっていく。ストップモーションと実写を融合したビジュアルの全体的な印象としてはデヴィッド・リンチ×ブラザーズ・クエイ。コンプレックスを抱えた芸術家の孤独と狂気を描いたストーリーは、コーエン兄弟の『バートン・フィンク』やクローネンバーグの『裸のランチ』をも彷彿とさせる。自身もアニメーターであるロバート・モーガン監督による、悪夢のようなストップモーションのパートは中毒性アリ。

  • 港に灯がともる
    先人たちの歩みを後世へ語り継いでいくことの意味
    ★★★★★

     古くから在日コリアンが暮らす神戸の長田を舞台に、在日家庭における親世代と子世代のすれ違いが描かれる。長いこと辛酸を舐めてきた在日コリアンの苦難の歴史、ようやく築きあげた幸せを一瞬で奪った阪神淡路大震災の悪夢。しかし震災の当時まだ生まれておらず、そのうえ人種や国籍を意識することなく育ったヒロインにしてみれば、父親から繰り返し聞かされる家族の暗い記憶は重荷でしかない。そんな彼女が社会へ出て視野を広げることで、少しずつ親世代の想いを理解する。舌足らずな部分がないでもないが、しかし先人たちの歩みを後世へ語り継いでいくことの意味や重要性を、市井の人々の視点から考察したストーリーはなかなか深い。

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