9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~ (2009):映画短評
9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~ (2009)人類のいなくなった世界で「9」たちが発見をする
人類がもうすぐ終わることになった世界で、ひとりの科学者が「それでも命を残したい」と願って「9」たちを作る。彼らは、人類がいなくなった世界で、自分たちが何者なのかを発見していく。そういう物語の舞台となる滅びた世界が美しい。壊れて傾いた塔、人間の形をした彫像たちが並ぶ無人の庭園、すべてが黄昏色に沈む世界に、ときおり柔らかな緑色の光が生じて「9」たちに何かを思い出させようとする。その「9」たちの姿の愛らしさ。人間の手で胴体が握られるくらいのサイズ感、その身体の麻の繊維で編んだ袋のような柔らかいがざらついた質感、その内部に歯車が詰まっている感じが、オモチャ好き、カラクリ好きの心を刺激する。
この短評にはネタバレを含んでいます