のぼうの城 (2010):映画短評
のぼうの城 (2010)こんなバカ殿に国政をお任せしたい!?
東日本大震災の年に作られたため、当時は“水攻め”のシーンが津波を思わせてツラいとの声も聞かれた。そういう点では不遇な作品だが、普遍の面白さを持つ時代劇であるのも事実。
平時は城外で農民と笑ったり踊ったりしている呑気なバカ殿が、戦時で劣勢を跳ね返してしまう奇跡。本作がスポットを当てるのは、その人間力ともいうべき一個人の魅力。城内でも外でも人と同じ目線に立てることに加え、本能的に他人の心をとらえる、そんな才がチャームと化す。
バカ殿役の野村萬歳はクライマックスの肉体表現の上でも、これ以上にないキャスティング。平時ではない2020年に見ると、こんな為政者の存在が羨ましくなる!?
この短評にはネタバレを含んでいます