ブラック・スワン (2010):映画短評
ブラック・スワン (2010)現実と妄想を再検証し、自分なりの解釈を何度も楽しみたい
映画は所詮、「作りもの」。その前提を最大限に利用し、現実と妄想が入り乱れる今作は、2度目、3度目の方が、主人公ニナが実際に何を体験したのかを自分なりに検証する楽しみがある。
バレエ経験もあるナタポーの肉体をプロの動きと合成するという、彼女にとって屈辱的な映像処理に、白鳥と黒鳥の二面性と、あらゆるアングルで「虚実ないまぜ」という作品の趣旨と合致する。グロ描写は何度観ても鮮烈なまま。
今作でオスカーを受賞したうえ、共演したダンサーのミルピエと私生活で結ばれたナタポーだが、近作『ポップスター』での、恐らく彼女の指名であろうミルピエの振付は、かなり残念な出来で、「公私ないまぜ」の悪い結果の見本に。
この短評にはネタバレを含んでいます