ミッドナイト・ガイズ (2012):映画短評
ミッドナイト・ガイズ (2012)人生の黄昏時を迎えたジイさんたちの落とし前
誰しも人生ままならないもの。人間の一生というのは、ごく一部の幸運な者たちを除けば、本人の力だけではどうにもならない事が多い。ならば、せめてそのエンディングだけでも自分らしく、納得ができる最高の決着をつけたい。これは、そんな人生の黄昏時を迎えたジイさんたちによる一夜の大冒険を描いた作品だ。
主人公はかつてヤンチャな青春時代を共に過ごした老境のギャングたち。仲間の罪をかぶって28年の刑期を終えたヴァルに、今はひっそり地味な生活を送るドク、そして老人ホームの世話になっているハーシュ。久しぶりの再会で若い頃のように弾ける彼らだが、しかし老いの現実は容赦なく立ちはだかる。そればかりか、ドクは組織のボスの命令でヴァルを殺さねばならない。色々な意味で残された時間は限られている。そのことを自覚した彼らは、後悔ばかりの人生に自分たちなりの落とし前をつけようとするわけだ。
奇をてらわない控えめな演出は、個性の強いベテラン名優たちの重量感を意識してのことだろう。オーソドックスな脚本は予定調和が目立つものの、そこも主演陣の円熟味に大分救われている。中高年世代の心にジンワリと滲みる一本と言えよう。