ブリングリング (2013):映画短評
ブリングリング (2013)ライター2人の平均評価: 2
犯罪行為をキラキラと描かれても困る
実話に基づく本作は、重要な現代社会の問題を内包している。SNSを利用したセレブ宅への空き巣行為に、自らの犯行をSNSで自慢するという愚かさ。見目よい娘を利用して一稼ぎしようとする親。そんな彼らを瞬間的に有名人に祭り上げるTVのリアリティーショーについては、供給する側も観る方もどっちもどっちである。
映画はそうしたネット社会やメディアの現状へのアンチテーゼかと思えば、若者が窃盗に興じる姿がオシャレに描かれても許容できると思った。が、結局のところ、本作は先に述べたリアリティーショーと同じ役割を果たしているに過ぎないという虚しさ。お説教映画である必要はないが、この”やりっ放し”感は不快だ。
バカッター絶賛増殖中の日本人も必見!?
有名人の私生活が異常なほどの関心を集め、リアリティ番組やSNSで目立つことをすれば誰でも有名人になれる。これは、そんな“セレブ熱”に浮かれる現代アメリカの行く末を憂える作品だ。
セレブの豪邸へ忍び込んではブランド品を大量に盗み、フェイスブックやツイッターで戦利品を自慢する高校生たち。そこには憧れの有名人の私生活をのぞき見る優越感やネットを通じて注目される満足感こそあれ、罪を犯しているという意識は微塵もない。
なぜこんな若者たちが現れたのか?実際に起きた出来事を淡々と再現しつつ、アメリカ社会全体の問題として客観的に考察していく。バカッター絶賛増殖中の日本人にとっても他人事ではない。