ニューヨーク、恋人たちの2日間 (2012):映画短評
ニューヨーク、恋人たちの2日間 (2012)最良のウディ・アレン・フォロワー!
『アニー・ホール』や『マンハッタン』などでウディ・アレンが確立した“都市映画”の魅力に憧れている映画人は多く、絶対意識してるよね~とおぼしきフォロワー(もしくはエピゴーネン)的作品をちょいちょい見かける。そんな中、本作ほどアレン調を嫌味なく“自分のもの”として昇華した例を筆者は他に知らない! ジュリー・デルピーの監督&主演による2007年作品『パリ、恋人たちの2日間』の続編だが、ニューヨーク在住の主人公が新しい恋人と暮らす自宅に、パリから身内(野蛮な田舎者、というノリ)がどやどや訪ねてくる珍騒動の体裁で、堅苦しさのまるでない(下ネタも大量!)、自然体の知性に満ちた良質のコメディに仕立てている。リチャード・リンクレイター監督やイーサン・ホークと組んだ『ビフォア』シリーズがロマンティックな恋愛小説の連作だとしたら、こちらはあけすけなエッセイの趣き。デルピーは前作『スカイラブ』(今年の春に特集上映「フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ」で日本公開)も大傑作だったし、いま、映画作家として素敵に成熟し始めている!