ポゼッション (2012):映画短評
ポゼッション (2012)作り手の真面目な姿勢が伺える
古い木箱に閉じ込められた邪悪な悪魔が、いたいけな美少女の体にとり憑くというオカルト映画。「エクソシスト」以来、この手の映画は見飽きてしまった感が否めないものの、本作の場合は一貫して家族のドラマに焦点を絞ったところが良かった。両親の離婚や自我の目覚めによって思春期特有の孤独を抱えた繊細な少女、そんな彼女の心の隙間にじわじわと入り込んでいく悪魔。年頃の娘を持つ親ならではの不安や迷いも丁寧に描き込まれており、作り手の真面目な姿勢が伺える。ただ、その真面目さが同時に弱点でもあり、ホラー映画らしい恐怖のカタルシスを薄めてしまったようにも思える。ショックシーンも凝っている割にはインパクト不足。とはいえ、良質な作品であることは間違いないのだが。
この短評にはネタバレを含んでいます