アイアン・フィスト (2012):映画短評
アイアン・フィスト (2012)70年代カンフー映画への偏愛が大暴走
監督と主演を兼ねるヒップホップ・アーティストRZAの70年代カンフー映画に対する偏愛がこれでもかと詰まった一本。それも、ブルース・リーとかジャッキー・チェンではなく、ジミー・ウォンとかリュー・チャーフィーなんかのコアなヤツね。
香港ショウ・ブラザーズのオープニングタイトルをパクった出だしからRZAのカンフー・オタク心は大暴走。基本的なノリは師匠タランティーノの「キル・ビル」2部作なのだが、エロ・グロ・ナンセンスてんこ盛りのお祭り騒ぎはこちらの方がパワフル。ヤッチマイナ!と言われたからやっちまいまくりました♪と言わんばかりですな。随所に「続・荒野の用心棒」などのマカロニ・ウェスタンを引用しているのも師匠と同じ。でもね、それでいいのよ、こういう映画は。
ルーシー・リュー率いる高級娼館の妖艶な娼婦たちが実はくノ一ばりの暗殺集団ってのも鼻血ブーな展開で大興奮。70年代に量産された“なんちゃってカンフー映画”的なB級アクションを彷彿とさせる懐かしさもたまらん。「ダイナマイト諜報機関/クレオパトラ カジノ征服」とかね。くだらねー!ありえねー!とスクリーンに向かって野次りながら楽しむべし。