ブロークンシティ (2012):映画短評
ブロークンシティ (2012)主演陣を食いかねないアローナ・タルの好演
いわくつきの過去を持つ元警察官の私立探偵が、ニューヨーク市長の汚職と悪事を暴き出す。マーク・ウォールバーグにラッセル・クロウという顔合わせは確かに魅力的なのだが、お約束の裏切りやら罠やらを散りばめたストーリーは極めて意外性に乏しく、残念ながらスターパワーをもってしても凡庸な脚本を救うことはできなかった。ハリウッドの場合、今やこの種のポリティカル・サスペンスはテレビドラマの方が断然面白い。
しかしながら、主人公の秘書ケイティに扮するアローナ・タルの好演は特筆しておくべきだろう。映画ではまだまだ馴染みの薄い女優かもしれないが、海外ドラマ・ファンなら「スーパーナチュラル」の美少女悪霊ハンター、ジョー役で記憶している人も多いはずだ。
強がりだが淋しがり、反抗的だが義理人情に厚いジョーの健気な純情をさらに際立たせたケイティは、恐らく本作で一番オイシイ役どころ。アローナの明るくもいじらしい演技は、下手をすると主演コンビすら食ってしまいかねないほど魅力的だ。少なくとも、キャサリン・ゼタ・ジョーンズよりもヒロインらしい輝きを放っている。