犬神家の一族 (1976):映画短評
犬神家の一族 (1976)犬神家史上最強の三姉妹
古典的な推理探偵小説である横溝正史の原作は、これまで幾度となく映画化・ドラマ化され、そのつど大物女優たちが松子・竹子・梅子の三姉妹を演じてきたわけだが、やはりその中でも最強トリオは本作の高峰三枝子、三条美紀、草笛光子であろう。いずれ劣らぬ品格・風格・演技力の持ち主。しかも、高峰と三条に限って言えば舞台となる昭和20年代のスターであり、まさに「その時代の顔」を体現している。もちろん、陰惨なホラー風味を効かせた市川崑のスタイリッシュな演出、見る者の郷愁を誘うロケ地・信州の懐かしき風景、そして大野雄二による妖しくも哀しく切ない音楽のメロディ、そのいずれもが素晴らしい。(ムービープラスにて6月放送)
この短評にはネタバレを含んでいます