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ボクが修学旅行に行けなかった理由 (2013):映画短評

ボクが修学旅行に行けなかった理由 (2013)

2013年7月6日公開 40分

ボクが修学旅行に行けなかった理由
くれい響

“化ける”可能性に満ちた、進行形のアイドル映画

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

とにかく“非常事態”である。前作『からっぽ』で深川栄洋監督ばりに“化ける”可能性を感じた草野翔吾監督だが、ぶっちゃけ女性アイドルありきの企画モノである本作で、さらなる才能を開花させた。この40分の中編、なにしろ深夜の高校に女子生徒が忍び込む展開のため、売りであるアイドルにほとんど照明が当たらなくなる。かなり挑戦的だが、それにより校内のヒンヤリした空気感が際立ち、彼女たちの発するセリフが本音とシンクロし始める。PASSPO☆クルーなど、現役アイドルのキャラを引き出す演出からは、もちろん監督の女子大好き体質を感じるが、いちばん癖のないヒロインに、“アキバイエロー”など、コスプレ&ハジケキャラのイメージが強い荻野可鈴を配した先見の明はスゴい。それに応え、ふとした表情だけで画面を引き締める荻野の演技力には、将来の大女優としての片鱗もうかがえる。図書館で靴下を脱ぐ彼女をバックショットで捉えた監督のフェチが炸裂しながら、神がかったシーンのほか、ジョン・ヒューズや岩井俊二などのオマージュも感じる、美しくせつなく懐かしい、そしてリアルで残酷な進行形のアイドル映画。そもそも、なぜタイトルは“私たち”でなく“ボク”なのか? そんな裏設定も含め、監督やキャストなど“化ける”可能性に満ちている!

この短評にはネタバレを含んでいます
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