笹の墓標 (2013):映画短評
笹の墓標 (2013)ヘイトスピーチする前に…
97年に日本・韓国・在日コリアンの若者たちが共同で行った強制労働犠牲者の遺体発掘調査を契機に、15年に渡る交流をまとめたドキュメンタリー。丁寧に葬られた日本人と異なり、ぞんざいに埋葬された朝鮮人の遺体が全てを物語る。虐げられた挙句、死して尚も人権を汚された事実を。共通体験を経て彼らは、憎しみよりも歩み寄りを試みる。その度に政治家たちの心ない発言が紛争を呼び、彼らを原点に立ち返らせる。社会に翻弄され国籍に阻まれ続ける人たちの苦しい胸の内は、涙なしには聞けないだろう。そんな彼らの人生を追いつつ、日韓の歴史も紐解く全5章・計9時間9分。彼らが味わってきた人生を思えば、この時間は長くない。
この短評にはネタバレを含んでいます