旅人は夢を奏でる (2012):映画短評
旅人は夢を奏でる (2012)のどかなユル~いユーモアで描かれる親子の再生ドラマ
35年も音信不通だった父レオの出現に端を発し、妻と娘は家を出て行ってしまい、母親だと思っていた女性が実は赤の他人だったことを知らされ、順風満帆だった人生が根底から覆される主人公ティモ。かくもシビアな題材でありながら、しかしミカ・カウリスマキの語り口は実に牧歌的だ。のどかなユル~いユーモアを散りばめながら、親子の過去と絆をたぐり寄せる凸凹珍道中が描かれる。
人生なんて結局は何でもアリ、だから細かいことなど気にせず今を生きろ。そう身をもって体現する父レオの愛すべき破天荒キャラが秀逸。そこはかとなく悲哀を滲ませた親子の再生ドラマに、人間という身勝手で不完全な生き物への優しい眼差しを感じる作品だ。
この短評にはネタバレを含んでいます