キューティー&ボクサー (2013):映画短評
キューティー&ボクサー (2013)ニューヨーク・アート界の『夫婦善哉』!
オノ・ヨーコや草間彌生と同世代、1960年代の前衛アートシーンを駆け抜けたギュウちゃんこと篠原有司男。北野武の『アキレスと亀』にも彼がモデルとおぼしきモヒカン男が登場していたが、これは現在のN.Y.での生活を捉えたドキュメンタリー。しかし内実は『夫婦善哉』みたいな道楽男と世話女房の滋味深い爆笑&感動喜劇になっていた!
主役はどちらかと言えば、妻の乃り子さんだ。彼女は夫のダメンズぶりを嘆くが、結局は生活の苦労を自分の表現へと昇華していく。
彼らはありふれた夫婦と、アーティスト同士の顔を両方持っている。特殊と普遍、ロマンと現実を往還しながら、男女のパートナーシップの深淵を覗かせてくれる傑作だ。
この短評にはネタバレを含んでいます