サクラサク (2014):映画短評
サクラサク (2014)郷愁溢れる家族愛の物語は、一方で居心地の悪さも拭えず
仕事人間で家庭を顧みない父親、そんな夫に愛想を尽かした母親、フリーターの息子に勝手気ままな娘。日本のどこにでもいそうな機能不全家族が、祖父の痴呆症をきっかけに再生の道を歩む。
祖父の幼き日の記憶をたぐり寄せる旅を通じ、いつの時代も変わらぬ家族の情というものを郷愁たっぷりに描く物語は、意外なくらい強く心に訴えかけてくるものがある。幼少期に注がれた愛情というのは、生涯を通じて心の拠り所になるものだ。
ただ、様式美を意識し過ぎた演出と型にはまった役者の演技が物語の説得力を損ない、見る側の感情移入をことごとく妨げてしまうのは残念。古き良き日本映画の伝統を勘違いしてしまった結果にも思える。
この短評にはネタバレを含んでいます