太陽の坐る場所 (2014):映画短評
太陽の坐る場所 (2014)女性の友情の難しさと危うさ
高校時代と立場の逆転した2人の女性を主人公に、思春期を人生の通過点として成長した人間と、人生の頂点だった思春期に囚われ続ける人間の明と暗を浮き彫りにする。
なにか決定的にドラマチックな事件が起きるわけでもなく、過去と現在の些細な日常を巧みに織りまぜながら、ヒロインそれぞれの心象風景を丁寧に映し出していく。観客に想像の余地を残す矢崎仁司監督の演出は詩情すら漂わせ、だからこそ女同士の友情の難しさや危うさが一層のこと引き立つ。
秀逸なのは森カンナ演じる由希というキャラ。今も昔も一貫して、生き残るため強者に擦り寄る彼女のしたたかさを、決して断罪することのない冷静な視点こそ、本作の肝だと言えよう。
この短評にはネタバレを含んでいます