セインツ -約束の果て- (2013):映画短評
セインツ -約束の果て- (2013)鮮やかに蘇るニューシネマの記憶
主人公はボニー&クライドを彷彿とさせる強盗カップル。だが、男はあえなく警察に逮捕され、女は子供を産んで彼の帰りを待ち続ける。そんな彼女に密かな想いを寄せる誠実な保安官。しかし、女は安定した平穏な生活の約束された男よりも、社会から落ちこぼれた危険な無法者との絆を貫こうとする。
これは当人同士にしか理解できない究極の愛の形を通じて、今は失われたアメリカ的ヒロイズムへの憧憬を描いた作品とも言えよう。詩情溢れるナチュラルな映像美、そしてキース・キャラダインの朴訥とした佇まいと歌声からは、かつてのニューシネマの記憶が鮮やかに蘇る。ただ、甘美なノスタルジーに少々傾倒し過ぎてしまった感も否めない。
この短評にはネタバレを含んでいます