遺言 原発さえなければ (2014):映画短評
遺言 原発さえなければ (2014)被災者に寄り添って生まれた傑作
ドキュメンタリーは被写体以上に、実は撮り手の人間性を映し出してしまう。本作の監督2人は、福島第一原発事故後いち早く飯舘村に入り酪農家を追った。時に彼らと酒を酌み交わし、時に政府の理不尽な対応に涙する。ジャーナリストとしてはいささか客観性に欠けているかもしれない。だが被災者にとって必要だったのは、2人のように話を聞いてくれる存在だったのではないか? ゆえに人々はカメラの前で本音をさらし、特別に撮影を許可した場面もある。こんなに被写体との距離が近い震災ドキュメンタリーは類がないだろう。
上映時間は圧巻の3時間45分。飯館の人々の3年間を思えば、短い。
この短評にはネタバレを含んでいます