ローマ環状線、めぐりゆく人生たち (2013):映画短評
ローマ環状線、めぐりゆく人生たち (2013)饗宴から独立したヒトビトのユニークなスケッチ。
フィクション以上に虚構的なアクの強い人物を観ているだけでも楽しいドキュメンタリ。高速道救急隊員が最も物語的だが、面白いのはその他の奇人だ。毎日ヤシ内部の「音」を聴きめぐる植物学者。モダンなアパートで若い娘相手に高尚なウンチク垂れまくる老父。居城を貸して糊口をしのぐ没落貴族 (バスルームは必見!)。「国産がいちばん」が口癖のウナギ漁師…。オチのない彼らの生活は、影響を感じる『フェリーニのローマ』よりも、インスパイアされたというI.カルヴィーノ「見えない都市」を彷彿とさせる一国一城ぶり。ちなみにフェリーニつながりでも姉妹作じみているのが『グレート・ビューティー』、都市の内と外という意味において。
この短評にはネタバレを含んでいます