こっぱみじん (2013):映画短評
こっぱみじん (2013)「好き」至上主義の小さくて濃厚な世界
「女性映画」的なピンク映画の傑作『OLの愛汁/ラブジュース』(99年)の監督・田尻裕司が渾身作を発表。地方都市(群馬ロケ)を舞台に、人間の業についての考察をミニマムな関係劇に濃縮して描く。『ダンスナンバー 時をかける少女』でも抜群の吸引力を見せた我妻三輪子を主演に、中村無何有、小林竜樹、今村美乃と鋭い若手キャストを揃えている。
本作で至上の価値に置かれるのは「好き」という気持ちだ。それは恋愛だけでなく、仕事や自己実現においても。時に社会的コードをぶっちぎるくらいの過激な「こっぱみじん」群像が、未熟なヒロインにとって気づきや学びになっていく成長物語の構造が面白い。スパッとした幕切れも秀逸!
この短評にはネタバレを含んでいます