滝を見にいく (2014):映画短評
滝を見にいく (2014)素人なおばちゃんほど巧くなっていく。
なんでもワークショップから生まれた作品らしく、プロットは極めて簡素。ピクニック風のちっちゃなサヴァイヴァルが、おばちゃんコミューンの結成劇へと繋がっていくが、沖田修一の持ち味であるオフビートさが功を奏し、決してギスギスしないのがいい。おばちゃんたちも最初こそ、演技経験のある人とない人との差があるが、次第に個々人のキャラクターもはっきりし、それもやがて融和して物語とシンクロしていく。彼女らの団結歌(?)が逆説的内容の「恋の奴隷」というのも面白いし、のほほんとして愉しげな劇伴のモーツァルトもぴったりだ。室内ものが巧い芦澤明子のキャメラも、一種の密室空間たる森を魅力的に捉えている。
この短評にはネタバレを含んでいます