家族はつらいよ (2016):映画短評
家族はつらいよ (2016)日本のホームドラマ、その歴史と現在
本作と並べたいのは是枝裕和の『海よりもまだ深く』(5/21公開)である。離婚等の主要モチーフ、ある件をきっかけに家族一同が揃う構造など、驚くほど共通点が多い(「探偵」まで!)。また『海~』は山田太一・久世光彦・鴨下信一などTBS系ホームドラマの血を濃厚に感じさせるが、『家族~』を観ると、彼らの同時代の併走者として山田洋次がいた事実を改めて確認させられるのだ(その偉大な先行者として小津が配置される)。
むろん山田・是枝の両者を貫く意識は、ホームドラマとはあくまで「今」の問題に向き合う表現であり、同時にラブストーリーでもあるということ。2016年、この二作を続けて観られる幸福を噛み締めたい。
この短評にはネタバレを含んでいます