ASAHIZA 人間は、どこへ行く (2013):映画短評
ASAHIZA 人間は、どこへ行く (2013)南相馬版『ニュー・シネマ・パラダイス』
南相馬と聞くと身構える人もいるかもしれない。だが本作を見れば同じ営みをし、同じ映画を愛する人達に親近感を覚えずにはいられない。本作は、`91年に映画常設館としての幕を閉じた朝日座の思い出を記録したもの。震災報道などではまず見られない皆の笑顔が弾ける。
デートで活用したとか、アンゲロプロス観たさに遠方から来た客とか。こちらの郷愁までかき立てられるようだ。映画という娯楽がいかに人々の生活に潤いを与えてきたかを、彼らの表情がすべてを物語っている。そして映画館が地域コミュニティの場として、いかに根付いていたかも。
地方の単館系劇場が休館に追い込まれている昨今、その重要性を静かに訴える秀作である。
この短評にはネタバレを含んでいます