おかあさんの木 (2015):映画短評
おかあさんの木 (2015)息子を国に捧げた母親の悲しみに反戦を誓いたい
憲法改正で戦争が他人事ではなくなっている今こそ、見るべき映画だろう。幸せな結婚をして7人の息子をもうけた農村の娘ミツに寄り添いながら、きっぱりと反戦を掲げている。出征した息子の無事を願って桐の苗を1本1本植える母親の姿が泣かせるが、息子の戦死で“軍神の母”扱いされながらも心の痛みにそっと耐えた上げくに汽車に乗り込む息子の足にしがみつく姿には本当に胸が痛くなった。ミツは字も読めない無学な女だが、息子を捧げさせるような国はどこか間違っていると感じているのが伝わってくる。鈴木京香の耐え忍ぶ表情が実に切なく、心にしみる名演だ。日本のトップはこういう映画を見て戦争の被害者に思いを馳せてほしい。
この短評にはネタバレを含んでいます