真夜中のゆりかご (2014):映画短評
真夜中のゆりかご (2014)ガツン!とくる、現代の巨匠の新境地
代表作『未来を生きる君たちへ』を挙げるとわかりやすいが、スザンネ・ビア監督の映画は人間の善意と悪意の絡み合いを見事に写し出す。本作もまた、そんなテーマを踏まえており、確かな歯応えを残す。
主要キャラクターの行動には動機があり、夫婦愛から自己愛まで多彩だが、いずれも“愛”に突き動かされている。善意と悪意を併せ持つ、そんな人間の業の深さに打ちのめされた。
とはいえ本作は単にヘビーな感触をあたえるだけでなく、サスペンスの面白さに寄った作り。ヒッチコックばりの皮肉なシチュエーションの妙や、人物のアップを多用した映像術に見入った。テーマとエンタメの絶妙の融合は、まさしくビア監督の新境地。
この短評にはネタバレを含んでいます