桜ノ雨 (2015):映画短評
桜ノ雨 (2015)『幕が上がる』にも通じる、エモすぎる青春群像劇
『くちびるに歌を』どころじゃない、ただならぬエモさに驚愕! 確かにクライマックスのいきなりの展開には、一瞬ツッコミを入れたくなったが、それも含めて、ガチでリアルな青春映画である。初の商業だけに、毒まみれだった前作『リュウグウノツカイ』と違い、作家性を抑えなければならなかったウエダアツシ監督だが、徹底的に抑えた演出は、もはや職人技の域。今すぐ大手でコミック原作を撮れるほどの実力を魅せつけた。目の演技が印象的なヒロインの山本舞香も、過去最高の存在感を残す。ネタはボカロ、ニコ動世代の定番卒業ソングだが、そことは無縁の世代にこそガツンと響く。『幕が上がる』にも通じる16年のダークホース的存在だ。
この短評にはネタバレを含んでいます