先生と迷い猫 (2015):映画短評
先生と迷い猫 (2015)どこかサイレント映画の香り
これは、もうまったく『ノラや』の世界ではないか! 内田百間先生の映画といえば黒澤明監督の遺作『まあだだよ』があるが、百間的な軽妙さがよく出ているのは、むしろコチラではないかと思ったよ。
本作は伊豆ロケのスモールタウンものでもあるが、そのスケッチされた風景の中で映画的に浮き上がっているのが「猫」と「イッセー尾形」である。イッセーさんの芝居はもともとパントマイムの影響を受けているせいか、作風にはサイレント映画の匂いが。猫の撮り方もノンシャランな佇まいが絶妙で見事!
なんだか深川栄洋監督の『吾輩は猫である』を観たくなった。「猫」ってことだけじゃなく、夏目漱石の書生モノとかハマるんじゃないかなあ。
この短評にはネタバレを含んでいます