約束の地 (2014):映画短評
約束の地 (2014)硬質な映像、丸い画面。コントラストで構築された神話的物語
映像が硬い。湿気がないので、光が強い。逆に、画面の形は柔らかい。スタンダードサイズの四隅が、古い写真のように直角ではなく丸みを帯びている。この硬さと柔らかさのコントラスト。南米大陸南端の広大な荒野を、北欧のカウリスマキ映画を撮ってきたカメラマン、ディモ・サルミネンが撮るというコントラスト。荒野を歩く主人公を遠くから捕えたカメラは、主人公の姿が画面の外に歩き去るまでフィックスのまま動かず、その姿が消えると無人の荒野が映し出される。大地と人のコントラスト。こうした対極にあるものが背中合わせに存在するという構造は、物語に呼応していて、ひとりの男の旅という神話的な物語は、いきなり別の側面を見せる。
この短評にはネタバレを含んでいます