黒衣の刺客 (2015):映画短評
黒衣の刺客 (2015)痛快感ゼロ、ただし映像の美しさはアートの域!
冒頭のモノクロ映像を見れば、フランスのおされ映画人がものすごく好きなのがわかる。DPリー・ピンビンの、微妙な空気感をもとらえる映像美はアートの域に達していて、どのコマも見逃してなるものかと食い入った。ただし物語は、イマイチ。暗殺者として育てられたヒロインが任務と心に秘めた愛情の狭間で悩むというプレミスはわかるが、演じるスー・チーの心情が伝わらないのが難点だ。暗殺者なので表情を表に出さないせいもあるが、彼女の葛藤や逡巡あってこその話だからね。実生活での元恋人チャン・チェンを配役したから恨み節を期待したけど、肩すかし食ったわ。さらに武侠映画なのに戦いに決着がつかないのがね、痛快感ゼロっす。
この短評にはネタバレを含んでいます