みちていく (2014):映画短評
みちていく (2014)思春期の凶暴な揺らぎが生々しく焼きついている
立教→美学校→東京藝大大学院というシネフィルコースど真ん中を行く91年生の新人監督・竹内里紗だが、むしろ「生きてる実感」――ほんの小さな糸口から存在の奥底へ降りていく描出に映画の力が懸けられている。
単なる自分探しの域ではない。スクールカーストの定型にも陥っていない。陸上部のみちると新田は『車輪の下』のハンスとヘルマンなどヘッセの小説に出てくる親友同士の女子版といった趣だが、2人が心を通わせるのは容易に言葉が届かない不定形の場所。観る者は思春期の棘に直接触れてしまったような痛みの印象を主に持つだろう。
役者陣も魅力的。新田役の山田由梨はまるで『なまいきシャルロット』期のC・ゲンズブール!
この短評にはネタバレを含んでいます