尚衣院 サンイウォン (2014):映画短評
尚衣院 サンイウォン (2014)嫉妬や欲、上昇志向が渦巻く濃密な人間ドラマ
王や王妃らの衣服を作る<尚衣院>を舞台にしたのがまずユニーク。しかも新旧デザイナーのバトルを軸に身分違いの恋や兄の死去で王となった若者と彼から愛されたい王妃らの宮中サバイバルをからめた展開が非常にドラマティックだ。宮中ドラマではお約束の側近の悪企みも抑えつつ、コンプレックスや嫉妬、上昇志向や自分探しなど人間のさまざまな感情をコンパクトにまとめ、濃密な人間ドラマに仕上げたイ・ウォンソク監督のストーリーテリング術が巧みだ。時代劇なのに現代的な感覚を盛り込むセンスも素敵だ。
観客の心を動かすツボを的確に押す監督の才能にぐいぐい引き込まれたし、映画ファンならば彼の名前を覚えておくほうがいい。
この短評にはネタバレを含んでいます