森山中教習所 (2016):映画短評
森山中教習所 (2016)荒唐無稽なようでいて実は普遍的な青春ドラマ
ど田舎にある非公認の自動車教習所を舞台に、能天気でマイペースな大学生とクールなインテリヤクザ青年の奇妙な友情をユルいユーモアで描く。
ストーリーもキャラ設定も多分に荒唐無稽ではあるが、そこを補って余りあるのがキャスティングの妙である。中でも、普段は自由気ままでウルトラ単細胞、それでいて繊細で複雑な面も兼ね備えた、ある意味でマンガ的な主人公・清高を、血の通った現実味のある若者として体現した野村周平の伸びやかな演技が作品を牽引する。
賑やかでトボけた笑い。ひと夏の忘れえぬ友情。その行間から、地域や家庭に縛られた田舎の若者の、漠然とした将来の不安や息苦しさ、哀しみが垣間見える点も秀逸だ。
この短評にはネタバレを含んでいます