虹蛇と眠る女 (2015):映画短評
虹蛇と眠る女 (2015)我が子の失踪で壊れていく母親
オーストラリアの広大な砂漠に囲まれた田舎町で、愛する子供たちが突然行方不明になってしまった母親が、その不安と恐れから精神的にどんどん壊れていく。
子供を探して灼熱の荒野を狂ったように駆け回り、茫然自失のまま全裸で町を彷徨うなど、ニコール・キッドマンのなりふり構わぬ体当たり演技はさすが。ただ、ドキュメンタリー出身だという監督の演出はメリハリがなく平坦なため、複雑に入り組んだ人間模様も散漫な印象を受ける。
一方、最初は同情された両親が次第に世間のバッシングに晒されていく過程は説得力あり。他人の私生活に好奇の目を向け、勝手な憶測や偏狭な道徳観念で断罪する集団心理。どこかで聞き覚えありますね。
この短評にはネタバレを含んでいます