僕らのごはんは明日で待ってる (2017):映画短評
僕らのごはんは明日で待ってる (2017)ライター2人の平均評価: 3.5
市井昌秀監督がアイドルに与えた一筋縄でいかぬ人生
宣伝文句はうるキュン。
それで普通の恋愛モノと敬遠する人がいたら勿体無い。
って、aroud50の筆者もその一人だったが。
だが本作はある程度人生経験を積んだ方が、
小春が亮太に別れを切り出した理由を重みを持って分かるはず。
そして2人が歩むこれからの人生の方が、嫌と言うほど長いことも。
そもそも昭和顔の中島裕翔の印象も手伝って、今どきの恋愛モノとは一線を画する泥臭さ。
家庭環境も恋心も、全て言葉にして相手に伝える。
至極健全だ。
そこに片桐はいりらを投入し、青い2人の言葉に含蓄を加える。
ここに市井昌秀監督のアイドル映画で終わらせないぞとする抵抗が見えて、それがまた本作の味となっている。
いろんな意味で、予想を裏切ってくれる!
瀬尾まいこ原作だけに、『幸福な食卓』『天国はまだ遠く』同様、ドライかつシニカルな雰囲気を持った変化球な恋愛映画。よって、流行りの少女マンガ原作の胸キュンテイストは皆無。熱量を感じさせないうえ、ときに不可解な行動を取る主人公とヒロインに、市井昌秀監督独自の繊細な演出が加わったことで、『ピンクとグレー』でピンと来なかった中島裕翔&女優感薄かった新木優子の役者としての魅力が一気に開花! おまけに、フードコーディネーター大活躍の“ごはん映画”に見せかけて、観た後に食べたくなる(なる)のがケンタのチキンという、まさかのオチ。さすが、前作『箱入り息子の恋』を観た後、吉野家に直行させた市井監督、何かが違う!