たたら侍 (2016):映画短評
たたら侍 (2016)日本の将来に警鐘を鳴らす社会派時代劇
単なるLDH所属タレントのショーケース的作品と思って高を括っていると、至極真っ当な時代劇として丹念に作られていることに驚かされるだろう。確かに若手役者陣の演技にはまだまだ未熟な部分は見受けられるものの、津川雅彦や中村嘉葎雄、奈良岡朋子、高橋長英らベテラン名優勢がしっかりと屋台骨を支えている。
武士に憧れる平凡な職人の若者が、愛する故郷の村を戦乱から守ろうと武器を手にすることで、かえって窮地に追い込まれるという皮肉。庶民を巧みに扇動する権力者や太鼓持ちの思惑に現代のきな臭い世相を色濃く投影しつつ、憲法改正へと突き進んでいく日本の将来に警鐘を鳴らす。社会派時代劇とも呼ぶべき骨太な作品だ。
この短評にはネタバレを含んでいます