天使にショパンの歌声を (2015):映画短評
天使にショパンの歌声を (2015)音楽を通した心の教育を目指す修道女の奮闘記
超保守的なカトリック教会の影響下にあったカナダのケベック州で、60年代に押し寄せたリベラル化の波。その大きな変化に翻弄されるカトリック系寄宿学校の教師と生徒たちの葛藤が描かれる。
増加する近代的な公立学校に生徒を奪われ、閉鎖の危機に見舞われる女子寄宿学校。音楽による情操教育に力を入れる校長の揺るぎない信念は、良妻賢母となるための実用的な教育への転換を図る修道院の方針と対立する。リベラルな社会改革が教育の現場に競争の原理を持ち込んだことで、逆に自由を抑圧してしまうという構図が皮肉だ。
とはいえ、基本は瑞々しい青春映画。教育の原点はやっぱり「心」だよね、ということを改めて思い知らされる。
この短評にはネタバレを含んでいます