変魚路 (2016):映画短評
変魚路 (2016)沖縄アンダーグラウンド・シネマ、再降臨
『夢幻琉球・つるヘンリー』から18年だが、筆者には大傑作『ウンタマギルー』の感触が蘇る――四半世紀ぶりにリアルな興奮を覚えた高嶺剛の新作だ。イラブー汁に漬けた8mmフィルムの破損が時間の層、現実と幻想の間をぬって、セクシュアルなイメージに連鎖する。「連鎖劇」というモチーフはそのまま主題。SFファンタジー的な物語設定、沖縄民謡とフリージャズといった大枠の中、不断の交通と接続で特濃の艶っぽいサイケデリアが醸成される。
かつて高嶺剛がカルトメジャー位のレベルで注目された時代があった。土俗と前衛、喜劇のセンス。ごく乱暴に言うと、ホドロフスキーが復活している今ならこの異才も「発掘」されていいはず。
この短評にはネタバレを含んでいます