タレンタイム~優しい歌 (2009):映画短評
タレンタイム~優しい歌 (2009)瑞々しい青春ドラマから伺える多民族国家マレーシアの素顔
学校の音楽コンテストに出場する高校生たちの友情と恋愛を描く青春物語なのだが、その過程において人種や宗教の違いによる誤解と偏見が様々な波紋を招いていき、多民族国家マレーシアの抱える問題が浮かび上がっていく。
お互いをよく知れば理解しあえるはずなのに、先入観から壁を作ってしまう人々。そんな彼らの抱える苦悩や葛藤にそっと寄り添いつつ、その上で人間同士が互いを受け入れ認め合うことの大切さを訴えるヤスミン・アフマド監督の眼差しは限りなく優しい。
なにより瑞々しくも繊細で切ない青春映画として秀逸。随所に散りばめられたユーモアも絶妙だし、若者たちを取り巻く家族の愛情ドラマも感動的。とにかく泣けます。
この短評にはネタバレを含んでいます